世界の愚か村話 という本

世界の愚か村話 (世界民間文芸叢書別巻)

世界の愚か村話 (世界民間文芸叢書別巻)

しばらくぶりに図書館に行って本を借りてきました。時節柄、日本ラグビーの歴史などの本や、世界の大きな出来事の歴史(十字軍とかそういうの)の本、こけしの本など、実にいろいろさまざま(笑)。それと、なんだかおもしろそうなので、この「世界の愚か村話」という本も。これは、日本民話の会、外国民話研究会というところで翻訳してまとめた、世界の笑い話というか、粗忽者の逸話集というか、そういう本です。国ごとにごく短い「お話し」がまとめられてあって、巻末には原題と出典もついていて、きっちりとした研究書であることがわかります。それにしても、「愚か者話し」ならすんなり納得できるものの、愚か「村」となると、なんだか規模が大きくないですか??なんて思ったんですが(笑)、つまり、ある愚か者が引き起こしたことでその村全体が巻き込まれてしまったトホホな出来事、そのために例えば隣村から小馬鹿にされて変なあだ名で呼ばれる羽目になったその村、っていうことでもあるようです。まだ読み始めなのでその辺はっきりわかりませんが、実在の村の名前を用いていることも多いようですが、決して悪意はない、と。カラッとした笑いの内容のお話しが多いようです。
チラチラ読んでみましたが、ああ、これは知っている、というものもありました。例えば、「舟で釣りに出かけた男たち。たくさん釣れたので、ここはいい漁場だぞ!またここに来て釣るときにわからなくならないように釣り糸を垂らしたホラ、舟のここに印をつけておこうじゃないか! 」って話し(笑)。しかしね、これに続きがありました。「印をつけて得意になってる男に別の男が異議を唱えました。そのやり方じゃダメだ、この次にまたこの舟を使うかわからないんだから!」だそうです(笑)。いいですねー(笑)。「愚か」っていうとなんだかとてもネガティブな含みを感じてしまうんですが、「天然(ボケ)」ってぐらいのニュアンスだと思います。このお話しにはいわゆる「ツッコミ」がいなくて(笑)ボケに更にボケるという畳み込む展開が愉快です。もうひとつ、町に行ったら鏡を買ってきておくれと奥さんに頼まれた男が、鏡ってどんなのだ?と奥さんに尋ね、かざしてみると人が見えるのさ、と奥さんは答え、市場でこれか?!と買ったものは「おろし金」。家に帰って奥さんに渡したら、「これよこれ!穴の向こうにアンタが見えるよ!!」と奥さんはとても喜びました。って(笑)。これなどは、なんだかしみじみとちょっと切なくなるようなかわいらしいボケ話しだなと思います。実話に基づくものもチラホラあるようなので、ゆっくり読んでみます。