- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 文庫
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さて!(笑)またタイトルと関係ないことをべらべらと(笑)。「砂の女」ですよ、安部公房ですね。その昔、たぶん中高生の頃ですね、読みました。その後、テレビで放送されていた岸田今日子主演の映画も見ました。原作のイメージと映画は、かけ離れたところはなく、岸田今日子が大変不気味で(笑)美しかったです。で、つい最近、「砂の女」文庫本を手に取る機会があり、どれどれ、昔読んだね・・・とパラパラと読み返してみました。そしたら、かつて読んだのとまた印象が違うような気がしました。子供の頃読んだ時は、「ただひたすらに、ありえない世界で繰り広げられる陰惨な、というか陰鬱な絶望的な物語」と感じていたような気がします。あり地獄におちてしまってどうにもならないもがき、みたいな。そして、「女」は、とにかく不気味で、「こんな人は砂のここの世界にしかいないよね・・・」などと思っていましたが、改めてこの度ちらちら読んでみたところ、意外に「女」が実は普通の人、のような気がしたのでした。よくいそうなタイプというか。砂の中に繰り広げられるあたりまえのような集落の営み、っていうのが現実感があって不気味なところなんですが、その中に住む、変人だと思っていた「女」も意外に普通の人である、という印象を受け、ようやく「砂の女」の不条理な不気味さをちゃんとわかったような気がしました。青少年時代に読み、その後、ちょっと大人になってからテレビで岸田今日子を見て、いや(笑)、岸田今日子主演の「砂の女」を見て、モノクロの砂の世界と岸田今日子の翳のある白い顔だけ印象に残っていましたが、そこに新たにまた上書きされたような気がします。ちらっと、ではなく、ちゃんと読み直してみたほうがいいですよね(笑)。