再び「砂の女」を(ちらっと)読んでみた

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

暑いですね・・・。お盆がじわじわと近づいてきているので、なんということもなく忙しい上に、今年は我が家の屋根のペンキ塗りなどもありまして、落ち着かない日々です。今も頭上でミシミシと屋根の上を歩き回る職人さんの足音がしています。暑いのに大変ですよね・・・。でも、暑くないとペンキがきれいに伸びないとかなんとかあるんだそうですね。う〜ん・・・。10数年前には外壁塗装と屋根のペンキとセットでやってもらいました。外壁塗装は、窓にビニールをかぶせてからするんですよね。あれも大変だったな〜・・・。そういえばそのときに、屋根の上からすずめのひなが見つかったのを職人さんからもらって、大切に育ててすごく慣れてかわいくなって、でもある日いなくなっちゃった・・・という太く短く濃い、切ない思い出などありましたな・・・。今回はすずめはいなかったようです。10数年後の塗りなおしの時に期待しておくか?!(笑)
さて!(笑)またタイトルと関係ないことをべらべらと(笑)。「砂の女」ですよ、安部公房ですね。その昔、たぶん中高生の頃ですね、読みました。その後、テレビで放送されていた岸田今日子主演の映画も見ました。原作のイメージと映画は、かけ離れたところはなく、岸田今日子が大変不気味で(笑)美しかったです。で、つい最近、「砂の女」文庫本を手に取る機会があり、どれどれ、昔読んだね・・・とパラパラと読み返してみました。そしたら、かつて読んだのとまた印象が違うような気がしました。子供の頃読んだ時は、「ただひたすらに、ありえない世界で繰り広げられる陰惨な、というか陰鬱な絶望的な物語」と感じていたような気がします。あり地獄におちてしまってどうにもならないもがき、みたいな。そして、「女」は、とにかく不気味で、「こんな人は砂のここの世界にしかいないよね・・・」などと思っていましたが、改めてこの度ちらちら読んでみたところ、意外に「女」が実は普通の人、のような気がしたのでした。よくいそうなタイプというか。砂の中に繰り広げられるあたりまえのような集落の営み、っていうのが現実感があって不気味なところなんですが、その中に住む、変人だと思っていた「女」も意外に普通の人である、という印象を受け、ようやく「砂の女」の不条理な不気味さをちゃんとわかったような気がしました。青少年時代に読み、その後、ちょっと大人になってからテレビで岸田今日子を見て、いや(笑)、岸田今日子主演の「砂の女」を見て、モノクロの砂の世界と岸田今日子の翳のある白い顔だけ印象に残っていましたが、そこに新たにまた上書きされたような気がします。ちらっと、ではなく、ちゃんと読み直してみたほうがいいですよね(笑)。