思い切って読んでみる

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

最近、谷崎潤一郎の「谷崎潤一郎犯罪小説集」を読んでみました。谷崎潤一郎は、偉大な文豪であり変態であるということでいいでしょうか??(笑)。文豪「なのに」変態(であるところがキズだ)、ではなく、文豪であり変態でもあり、それでいいのだということになってるものと私などはこの方について認識しております。
さて、その昔、三浦友和と百恵ちゃんの映画「春琴抄」を見たことがありました。子供心にもその恋模様がどうもふつうではない、というか(笑)、病的な感じといいますか、それを感じ取って、以来、ずっと避けてきた作家の一人でしたが、最初っから「犯罪」というくくりの中で繰り広げられる物語であれば却って読みやすいのではなかろうかと思ったので読んでみたのでした。たとえば「春琴抄」の静かな日常、献身的な愛をささげる友和、なるほど純愛なんですね・・・と見とれていたらいきなり自ら目を突き、これが俺の愛です、みたいな感じだっけ?う〜む・・・、そういうのよりそもそも設定が犯罪にかかわる空間という異常空間でのできごとならそういうつもりで読むもんね。で、そういうつもりで読んだので読みやすかったです(笑)。めくるめく変態ワールド(笑)。大変細やかな心理描写と情景の描写、気分が悪くなるほどの生物的などろんどろんのしつこい描写(笑)、全てがすばらしかったです。でも、終わり方が意外にあっけなくて、物語の筋という点での余韻があまり残らないかも。それよりも、筋とは直接関係のない、上にも書いた細やかな描写がより印象深く残るような気がしたのでした。・・・と、谷崎潤一郎のことばかり書いてしまいましたが、今度は江戸川乱歩集を読んでみようと思ってるとこです。
江戸川乱歩の少年探偵団シリーズは、子供の頃のブームでして、私もほとんど読んだ、と言えるほど読みました。「黄金仮面」と「塔上の奇術師」が特に好きだったんですが、どちらも「特に好きだった」という記憶しかなくなってますが(笑)。独特の文体で、時折読者に向かって語りかける感じっていうか「おお、あれをごらんなさい」とか、そんな感じではなかったかと。で、江戸川乱歩には、子供向けと大人向けがあるのだ、ということなんですが、大人向けをまだ読んだことがないので、谷崎潤一郎の犯罪小説で慣れたというかなんというか(笑)なところで、読んでみようかな、と思ってます。ところで、「谷崎・・」は角川、「江戸川乱歩」は新潮、どっちも夏の文庫フェアのラインナップです。夏の文庫フェアって、普段読まないような本を手にとりやすいというか・・・ハードルを下げる働きがあるんだな〜・・・と去年「ドグラマグラ」を買ってから気づいてましたが、今年もそう思ったのでした。