「ひとり」

ひとり (のうさぎのおはなしえほん (5))

ひとり (のうさぎのおはなしえほん (5))

片山健と片山令子の本です。このお二人でいろいろ絵本が出てますが、以前紹介した「森のてがみ」もですね。「たのしい冬ごもり」とか。こののうさぎの絵本はシリーズで6作品まで出てるようです。「いえ」っていうのもあって、私はそれが好きです。古くて薄暗い自分の家に嫌気がさして引越しを決意するうさぎさんですが、閉まりの悪い玄関のドアを思い切り押して(そのドアにも嫌気がさしてたんですが)自分の手が真っ黒になったことにびっくりして、ドアを拭いたらちゃんとドアが閉まるようになり、ついでに窓も拭いたら明るくなって、どんどん家はきれいになって・・・というような内容です。パ〜っと明るく前向きになっていくうさぎさんの様子にこちらも明るくパ〜っと照らされるような気分になります。
さて、この「ひとり」って本は、実はいろんなテーマが盛り込まれてます。ひとりでさみしいうさぎさんが、お友だちのくまちゃんと遊びに行くんですが、ご飯を食べてなかったためにどうにも体がしゃきっとしない・・・ってことから、ご飯はちゃんと食べなきゃね、ということ、わたしが食べる食べ物にわたしは元気をもらい生きていけるのね、ということ、食べることでわたしは食べ物(自然界)とつながっている、自然の中で生きてわたしの中で自然も生きるのね、だからわたしはひとりではないし、さみしいと思わなくていいのね、ということ、まで広がっていきます。
ご飯を食べていないうさぎさんの目の前で、小鳥さんがご飯を食べるんですがそのご飯は毛虫です。そりゃそうだ、小鳥だもんね、毛虫食べるよね・・・。ちゃんと葉っぱのお皿に載ってるところが素敵なんですが(笑)。で、小鳥さんが言うことには「この毛虫さんはほんとは大きくなったらちょうちょになるんだけど、わたしがその前に食べちゃうの。でも、ほんとはちょうちょになって空を飛べるんだから、わたしはその力をもらってるの」と。ほんとにそうですね・・・。食べるって、そういうことだな、とつくづく思いました。自然のエネルギーをもっと信頼して実感できるような食事をしていかなくちゃいけないね・・・とそこまで考えてしまう絵本なのでした。