もりのがっしょうだん

もりのがっしょうだん

もりのがっしょうだん

というわけで、私の好きな絵本作家のひとり、飯野和好挿絵の絵本です。飯野和好というと、「ねぎぼうずのあさたろう」が有名でしょうか。あれも渋くて、あさたろうは男気にあふれ、人情味たっぷりの味わい深い絵本です。
これは、森に住む動物のこどもたちが、森の神様にささげる歌を歌う話ですが、そのこどもたちは、いろんな学校から集まってきた子達のはずです。手元にこの本を持っていないので、おぼろな記憶ですが・・・、で、おもしろおかしくそれぞれの学校の先生の悪口や、作り話なんかをしてお互い打ち解けて盛り上がるんですが、実はけっこうそのことが子供たち自身、キツイんですよね。それで、こっそりと、森の神様のところへ懺悔に行くんです。「ほんとはぼくの先生はやさしくてすてきな先生なんです。ごめんなさい」みたいな感じで。で、みんなそれぞれこっそりと「懺悔」に出かけて、心にやましいところがなくなったら、歌声もきれいになって森の神様へささげる合唱も美しく響きました、というような内容です。
それで、この絵本を見たときすごいなと思ったのは、はじめの方の、まだみんなよくお互い打ち解けていない状態で歌ってるのと、最後の本番での歌ってるのと、すっかり同じような挿絵なんですが、動物たちの顔のいきいきした様子がまるで違うんですよ。今すぐ確認できないのが自分でも残念ですが、読み手の晴れ晴れ感と、懺悔してすっきりした動物たちの晴れ晴れ感が絵本を通じて呼応してると思います。