妖怪図鑑

お雛様が夜になると踊る、ってことを書いた翌日にこういう本を出してくるって、それじゃあまるでお雛様がどうのこうの(笑)みたいになってくるんですが、そういうわけではありません。なんといっても、お雛様は女の子の健やかな成長や幸せや美なんかも守ってくれる素敵なお人形なので、なんら妖しいものであろうはずもありません。そうではなくて、お雛様が夜に踊ってるよ、ということが有名ってことは、目撃者がいっぱいいるんではなかろうか、って思うのです。そういう不思議さが、妖怪目撃と同じ種類のものかな〜と。
妖怪は、けっこう突飛なものがいっぱいいることになってますが、あんまり突飛過ぎて、こりゃ実際に見てないとこんなの思いつかないべ・・・みたいなものも多いような気がするんですよ・・・。有名なところの「ぬりかべ」とかね〜、足元払うと消える、とか、具体的な撃退法があるのも、遊び心を通り越したリアルさがあるような・・・。
数年前に、妖怪の展示会みたいなのに行ったんですよ私は。なんだそれ、と思うでしょうが(笑)「鬼の頭部のミイラ」とか「河童の手」とか展示されてて、なんだかもういろいろすごかったです。これは存在を信じるしかあるまい、なんてくらくらしながら帰ってきたものでした(笑)。
平安時代の怨霊にしても、江戸時代あたりの妖怪にしても、人間が野生に近い本能をキープしていたから見えていた、そういう存在を感じることができた、って説があるようですが、なるほどな〜と思います。今はいろんなツールで意思の疎通がどんどんできるから、そういうアンテナみたいなものも鈍くなってしまって、自然の中にほんとはほよほよんと「ある」ものが見えなくなっているってことでしょうかね。でも、未だにきっと見えてる人もいるんだろうな、とも思うんですが・・・。
この図鑑は、飯野和好の絵です。迫力のある絵で、説明も説得力があって、なるほど河童とひとくちにいってもずいぶん種類がいるもんだね、なんて、こういう存在はたしかに「いる」「ある」ものとしていつのまにか納得させられてしまう、なんか・・「遊び心」を超えてしまってるかのようなリアルな本なんです(笑)

妖怪図鑑 (単行本絵本)

妖怪図鑑 (単行本絵本)