「猫の館 」


猫が題材のアンティークのポストカードのコレクション写真集です。1979年に初版本としてボックス入りのこの本があったようですが、私が持っているのはその2年後に出版されたソフトカバーのものです。子猫と少女という王道の取り合わせの写真や絵のものが多いですが、中に「鍋に入ってる猫」や「ドレスを着せられてる猫」なんかの「なんでまた」みたいなのもけっこうあっておもしろいです。
この本、巻末にはライナーノートもあるんですが、それを書いてるのは寺山修司です。このライナーノートがまたとてつもないもので・・・。とりあえず、この本の内容であるアンティークポストカードとは、というところには一切触れてなくて、「けむり」という名前の猫がいなくなったのでそれを探す、という設定の短編みたいな内容になってます。「猫が紛れ込みそうな所はどこか?」と、クラシック音楽や小説、映画と、猫が出てくる作品を探し回るんですが、それが大変な情報量でまるで猫作品の目録のようです。
寺山修司は中学のころから好きで、この本も、猫がいっぱいでしかも寺山修司(私にとっては「しかも」なわけです 笑)ということで買ったものでした。
猫の詩が所々に数編収められています。その中の西条八十の「猫の洋行」というのが好きなので紹介します。


かわいい猫をあげました
フランスの牧師さんにあげました
牧師さんはお国へかえります
港でお船にのりました
牧師さんはデッキで「さようなら」
猫を抱き抱き
「さようなら」。
汽笛がボーとなりました、
船はだんだん遠くなる。
かわいい猫は
明日から、
洋食食べて、
パン食べて。
ニャーと啼かずに
ミューと啼く、
フランスの猫になるでしょう。


本を抱えてる猫のぬいぐるみは、目がちょっと珍しい作りの、私が子供の時からいっしょの大事な友ですが、ニャーとか、ましてやミューとかしなそうな寡黙な雰囲気です・・・(笑)