- 作者: 寺山修司
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 2004/03/25
- メディア: 単行本
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海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手を広げていたり
これを初めて目にしたのは私はたしか中学の時だったと思いますが、この短歌からパッと浮かんだのが、高原のサナトリウムの一室、おさげの少女がベッドに半身を起こして少年の話しに耳を傾けている、日焼けをしたランニングシャツの少年は、海がどれだけスケールの大きな自然であるかということを一生懸命説明をしている、というものでした。サナトリウムである必要はないかもしれません。多感な中学生女子(笑)が勝手に思い描いた場面ですので勘弁してくださいね。しかしながら、初見のイメージというものは勝手なものであっても塗り替え難いもので、私にとってこの短歌はそういうイメージのものになってます。さて、「われ」の広げた両手をはるかに超える無限の海の広がりというものが少女にどこまで伝わるのか、大きくて広いことを体を使って表現するというその子供じみた(「われ」が子供かどうかは実は確認できませんが、少女と同年代だろうと推測、希望 笑)様子がほほえましくもありいじらしくもあり、切なくもあり、です。
しかしですね、いやいや、この少女は山暮らしだから海を知らないだけの元気な子(ハイジみたいな?)で、そこにちょっと生意気な知った風な少年(ペーター?笑)がとくとくと海について話して聞かせているの図かもしれません。人によって見えるけしきはいろいろだと思います。というわけで・・・海の日だから海の短歌を載せてみましたが、目の前に海が浮かびにくい短歌かもしれませんです(私にとっては 笑)。