- 作者: 久世光彦,宗田安正,九條今日子
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 1998/01/01
- メディア: ペーパーバック
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売りにいく 柱時計がふいに鳴る 横抱きにして 枯野ゆくとき
「枯野」で、今の季節を私は連想しますがほんとはどうなんでしょう??とにかく、荒涼とした枯野を少年が、家からこっそりと持ち出した「金目」のもの、柱時計を売りに行くところですね。売ってどうするかというと、少年は故郷を捨てて東京に行きたいと渇望してるわけです。売ったお金はその資金に充てるつもりってことで。
「田園に死す」は、同名の映画もあって、しかしながらなかなか内容がどぎつくて、私はまだ通して見たことがないんです、実は。それなのに寺山修司の短歌についてあれこれを語るのもどうかとは思いますが・・・。ま、いずれ、映画の中にもこのシーンがあったかも!いや、なかったかも・・・なんですが、設定はそういう感じでだいたい合ってるはず(怪しい・・・笑)。
柱時計を勝手に売りにいくという後ろめたい気分で急いでいる時に、横抱きにしてたそれが急に「ぼーん」なんて鳴ったら怖いというか、なんというか。売りにいく人間の私が立場が優位ではあるけれど、売られる側からのかすかな自己主張といいますかね、それを感じてしまいます。怖いやら後ろめたいやら切ないやら。そういう気分を乗り越えて更に枯野を行く少年は、恐ろしいモノになってる気がします。