「ザ・対決」

ザ・対決 (講談社文庫)

ザ・対決 (講談社文庫)

私の好きな作家、清水義範の本です。いろいろなものや人物を「対決」させた小説です。「コーヒーvs茶」とか「大岡越前vs遠山金四郎」とか。ただ両者を対比させて論じてるのではなくて、小説仕立てで読ませてきます。とても愉快でおもしろい本です。
私の一番好きな「対決」は、表紙にもなってますが「桃太郎vs金太郎」ですね。この有名なふたりの日本男児を対決させて、文字通り競わせます。どうやってかというと、トライアスロンで。変でしょう??(笑)
金太郎は、金太郎の意地で、まさかりをかついだまま遠泳です。とても大変(笑)。桃太郎も自転車レースでは「日本一」の旗を手放さず、風の抵抗を旗に受けながらも頑張りぬく、と。旗を背中につけていなければ、『正装をしたぼっちゃんだからあれは福助さんだろうか、という者すら出てくるかもしれず』、とか書いてあって笑ってしまいます。もうこの小説が先にあったか?!と思えるほど、二人の個性と特徴が完全にこの小説の中に引き出されてるな〜と思います。
文体がなんだか落語風で、オチまできれいにきまってます。小遊三さんあたりがやってくれたらすごくおもしろい落語になりそうな。