「にぐるまひいて」

にぐるまひいて

にぐるまひいて

最近日に日に秋の気配が深まってきてますよね。私は1年の中でも今のこのぐらいの季節が好きです。クーラーもヒーターもいらない、ちょうど過ごしやすくてほっとします。秋になるといつも思い出す絵本に「にぐるまひいて」という絵本があります。昔のアメリカの生活の様子がうかがえます。
秋のある日、お父さんが荷車にたくさんの荷物を積んで町まで売りに行くんです。たくさんの荷物というのは、家族が1年かけて作ったり収穫したりしたものです。荷車も手作りのものだったと記憶。で、町でそれらのものを全て売って、来年の生産に必要なものだけを買って家路につくお父さん、出迎える家族、おみやげのはっかアメをもらって、さっそくまた来年のために家族はそれぞれ自分の仕事に精を出す、という内容です。・・・おみやげはアメだけか・・・などと思ってはだめです。きっとアメは当時はぜいたくな珍しいものにちがいないのです、たぶん。とにかく、無駄がなくてきちんとしたその暮らしぶりは、なにかっつーとオークションなどでお人形などを物色してバタバタしているこのわたしなどとは対極にある美しさです・・(笑)。時々思い出しては、身の引き締まるような思いにとらわれるのでありました。すべてのものが無駄なく循環する暮らし、です。身の引き締まる、と書きましたが、どっちかというと、心が洗われる、っていう感覚の方が近いかもしれません。生産・消費のサイクル、その原点、なんてことにまで思いを馳せられる印象深い絵本なのです。