ねこは かんがえます


猫がえりくびつかまれて「ギャー」みたいな顔してる衝撃の(笑)表紙のこの絵本は、何年か前に古本屋で買いました。
いったいこの猫はどうしちゃったのかというと、理由は絵本の一番最後に明かされています。
猫なので、そこは料理中のコックさんの目を盗んで調理場の魚をちょっと食べようとしたんですが、見つかって(ここまでで最終ページです)えりくび掴まれて「ギャー」っと外へ放り出され(ここがお話の冒頭)、残念ながら魚を食べ損なって「ねこは かんがえます」と始まるのです。(うぐいすみたいに空を飛べたら、雲の上で誰にも邪魔されないでゆっくり魚を食べるのに)と。
で、次のページでは猫にうらやましがられた自由なうぐいすも、実は宮殿で飼われたいものだわ・・・と、宮殿の暮らしに憧れてます。でも、うぐいすに憧れられた宮殿の、王女様はというと日々たいくつだと感じていて「ふなのりのしょうねんと海にふねをうかべて・・・。」という希望を持ってたりします。船乗りの少年はお母さんには内緒だけどほんとはクジラ捕りになりたくて、お母さんは少年にはお医者さんになってほしくて・・・と、こんなふうに、誰かが誰かを思ったりうらやましがったりしながら、お話しは進んでいきます。でも、憧れや希望をもって見つめられてる対象はというと「そこか?!」という意外な点を自分自身納得していなくて、「ほんとはこうならいいのにな〜」とそれぞれが夢や希望やあれこれ考えを持ってます。いろいろな人間模様(笑)がありつつ、最後にはちゃんと猫は調理場からつまみ出される展開になってみごとに表紙につながってます。
「めでたし めでたし」から始まって、どんどんさかのぼり、結末が物語のはじまりになってる絵本も見たことありますが、ストーリー自体がおもしろいのはもちろん、そういう展開というか構成で更に遊ばせられると、なんだか「本の余裕」みたいなものを感じさせられますね〜。