夏の文庫フェア

少女地獄 (角川文庫)

少女地獄 (角川文庫)

書店に行ったら夏の文庫フェアの陳列になっていました。さっそく文庫本三社の目録の冊子をもらってきて、じっくりと眺めていたとこです。ここ近年、気づきましたが、昨年も同じこと書いたと思いますが、夏の文庫フェアってやっぱり青少年向けですよね??でもいいの。今年もなにか読んでみよう、と探しています。昨年はとうとう「ドグラマグラ」に手を出して、いつもの夏より更に粘度の高い、ねっとりとした空気の中のすばらしい夏を過ごせました(笑)。
ドグラマグラ」を読むきっかけは、友人から「少女地獄」と「瓶詰め地獄」を勧められたからでした。「是非感想を聞かせてほしい。自分の感想もそのときまで語らない」というメールが来たので、急いで書店に行って、2冊を平行して読んでみたのでした。その後、私としては断然「瓶詰」派なんですが、友人は断然「少女」派だということが感想の交換こで明らかになったのでした。さて、そして「瓶詰」があまりにも衝撃的だったわたくしは、これはいよいよ・・・と「ドグラマグラ」を読んでみたっていうことなのでした。「ドグラマグラ」は実に異様で、読者を惑乱させる仕掛けだらけ、物語の軸もわざとぶれさせてあるし、無重力空間にぼんと放り出されたような不安定さがあるんですが、そのぐるんぐるんな酩酊感がまた(笑)。「瓶詰」は、短編で、すぐに読めてしまうんですが、ほんとにこれこそ異様な小説です。わけのわからない、底なしの異常さという点では「ドグラマグラ」よりひどいんじゃないか?と私は思ってます。兄妹間の禁忌っていうところに過剰反応しているのではなくて、手紙による構成というこの小説の、そこのところの辻褄の合わなさの気味悪いこと気味悪いこと(笑)。何度読んでも慄然とか悄然などという普段使わない言葉を思い出させてくれるすばらしい本です。
「瓶詰」話で盛り上がってしまいましたが(笑)、今年の角川の夢野久作の作品は、「少女地獄」が取り上げられています。昨年までの「ドグラマグラ」はいったんお休み、かな?「少女地獄」、こちらも気味悪く異様であるということに文句はなく(笑)、でもストーリーもはっきりしてるし、案外読みやすいかな、と思います。文庫の表紙は今年はてぬぐい屋さんの「かまわぬ」文様。フェアの棚がしっとりと渋く決まっていました。三島由紀夫の「不道徳教育講座」のバラ模様もとてもすてきです。持ってるけどまた欲しくなるような・・・(笑)。