おなかのすくさんぽ

絵本作家で何人か好きな人はいますが、ダントツで好きなのはやっぱり片山健です。(「やっぱり」とか言われても〜・・・ですよね 笑)片山健の絵は、まるで脈打ってるような、生き物の気配が封じ込められたような、イキイキしてるとも違う、どっちかというと「ナマもの」みたいな絵だなとかねがね思ってます。さて、そんな中でもいっそう生臭い(笑)この絵本、今からの季節にぴったりではないかと。お盆あたりまでの、なにやっても夏の熱気がまとわりついてくるような、ギラギラの陽射しにピタッとくる野性的な絵本です。
人間の子供が山の動物(いや、「獣」と言った方がぴたっときますね)といっしょに穴を掘り、入り、山を駆け上り、転がり降り、水を浴びてちょっとクールダウン、そして「おなかがすいたね」と獣たちが気づくと。そして「きみ、おいしそうだね、ちょっとなめていーい?」なんて熊がかわいく聞いてくるんですね〜。「ほんとになめるだけだよ」なんて気のいい返事を人間の子の「ぼく」はするんですが。で、なめたらやっぱりおいしかったのか、次には獣たちが「ちょっとかじっていーい?」とか言いながらめいめい、ぱくっと「ぼく」をかじってみるんです。まあ、かじるっていうか、サーカスのライオンが美女の頭をぱくっと口ではさむあの感じですが。なんなんだ?大丈夫か??と心配になりますが、そりゃあ、さすがに喰われたりはしませんで、「おながか鳴くからか〜えろ」と、それぞれお腹をすかせて意外にあっさり帰っていってめでたしめでたし、と。
さて、絵本の後半、水浴びを終えて「そろそろ帰ろうか」と「ぼく」はパンツをはいてるんですが、その時こっち見てます。「ああ、お母さんか」って表情かな・・・?熊と山猫もこっち見てます。目が合うんですよね。熊と山猫は「さっきまでのなめたりかじったりしたの見てた?」って顔です(笑)